リンバス 10 章下編 感想|シーシュポス百貨店 完結編(Limbus Company)

リンバス 10 章下編 感想|シーシュポス百貨店 完結編(Limbus Company)

Limbus Company 10 章 第3回

公開日: 10/3/2026

読了目安:

15分

ネタバレ注意
この記事には、2026/10/01 公開の Limbus Company 10 章下編のストーリーに関するネタバレ、 並びに前作 Library of Ruina をはじめとする Project Moon 作品のネタバレが含まれています。 まだプレイしていない方は、ご注意ください。
こんにちは、Rafka です。 10 月 1 日(木)に、Limbus Company 10 章の下編が公開されましたね。
公開日の木曜日のうちにクリアしてしまったので、上編・中編に続いて、今回も全体についての感想を記事にしておこうと思います。

10 章下編について

下編で公開されたのは、10-4 の第 3 部です。 上編から続いてきたシーシュポス百貨店の物語は「エンディング C」にたどり着き、これで 10 章は完結となりました。
私の編成は以下の通りです。 10章下編クリア編成
中編からの変更点は、ガチャで追加されたブランドマネージャードンキホーテを引いたので、編成に組み込んだことです。 また、ムルソーの人格を、カポムルソーからロボトミー E.G.O のホーネットムルソーに変更しています。 長期戦が予想されたので、オーバーヒートで威力が低下するカポムルソーから変えました。

10-4 第 3 部のシステム

下編で特徴的だったのは、ビュッフェ戦が終わった後の 6F のギミックです。 「The Game of Sisyphus」よろしく、障害物を避けながら、マップの上部まで岩を押していくというものでした。 シーシュポスといえば、ムルソーの元ネタの作者であるカミュにも『シーシュポスの神話』という著作がありますね。
途中にはカルメンの手記が置かれていて、書かれているメッセージはかなり重要です(後述のストーリーの感想で触れます)。
この岩を押し上げるパートは、意図は伝わってくるのですが、ゲームとして遊びたいかと言われるとちょっと微妙でした。 Skip が用意されていたので助かりましたね。

戦闘の手応え

下編の戦闘は、司祭・ビュッフェ・ジャンヌとの 3 つです。
1 つ目の司祭との戦闘と、特に 2 つ目のビュッフェとの戦闘は大変でした。 ビュッフェはシンプルにレベルが高いのでスキルの威力も高く、マッチで勝つのが難しいです。 モロシタスを使って攻撃レベルを揃えると、幾らかスキルに勝ちやすくなると思います。
ビュッフェ戦では、ギミックに対処しているつもりだったのですが、なぜか広域の一方攻撃が飛んできて、かなり危うい状況まで追い込まれました。 何とか戦闘終了まで持っていけましたが、しんどかったです。
ジャンヌとの戦闘
ジャンヌ戦は 10 章における最後の戦闘でしたが、下編の 3 つの戦闘の中では最もギミックが分かりやすく、楽でした。 演出も素敵で、楽しかったです。
どの戦闘も、敗北もコンティニューも無く突破できました。 人格や E.G.O が揃っていたので、何とかなったという感じですね。 個別の戦闘については、後日解説記事を書きたいと思っています。

ストーリーの感想

巨人「司祭」

下編では巨人の「司祭」が登場し、1 つ目の戦闘の相手にもなります。 「野蛮が再び訪れれば…N 社は他の翼と争い、戦争をするだろう。」と、N 社の先行きも語っていました。 司祭の正体は、最後に明らかになります。

カルメンの映像と手記

中編で伏字が外れた研究ノートに続いて、下編ではカルメン自身が語る映像が流れます。
「都市には、自分が自分として生きるための力が必要なの。」 「頭が、翼が、組織が、都市が自分の命を奪おうとするとき、抵抗できる…お金がなくても持てる力が必要なの。」
私は死にゆく人類を、消えゆく魂を治療するの。
たとえそれが誰かにとって公平でなくても、それでも私は輝くわ。温かさを与えるわ。
灰色の都市で目的もなく生きる人々を前に、 「価値観の車輪に巻き込まれ、押し潰される人類のために、抜け出す方法をもたらすこと」を目指した、というのがカルメンの語る動機でした。 「光の種」シナリオに至る動機が、カルメン本人の言葉でここまで語られるのは、シリーズを追ってきたファンには嬉しいところですね。
6F で岩を押し上げる途中にも、カルメンの手記が置かれています。
あなたが一度でも、あなたでいられるように。誰もが一度でも、自分自身でいられるようにしてあげたい。
「アインは今や、私がかつて貫こうとしていた価値観を受け継いで、道具を…衣服を握らせようとしているの。」 「あなたは、あなたらしくいられなきゃならないの。何にも縛られずに。」
アインの名前がはっきり出てきて、カルメンとアインの考えが分かれていったことが語られます。 この「道具」「衣服」の話は、最後のダンテとカルメンの対話につながっていきます。

ビュッフェとの再会

お腹が、空かない…。
下編では、中編で一緒に百貨店を巡ったプイが成長した姿であるビュッフェと戦うことになります。 ビュッフェはル・ルージュ陣営の願いから生み出された存在で、そのルーツのため、ル・ルージュ陣営の行動原理そのものとして存在することを定義づけられていました。 そのため、本人が望むと望まざるとにかかわらず、百貨店の全てを喰らい尽くそうとする本能に縛られていたのですね。
ビュッフェには中編の Ending B の結末の記憶があったため、Ending B のように際限なく喰らい続けることを「理性」によって避けていたようです。 そのおかげで、Ending B よりも長い時間が経過したにもかかわらず、元の姿を保っていました。
良い思い出がたくさんあるプイと戦うことになってしまったのは、 戦闘中にプイも段々と色々なことを思い出す演出も相まって、結構悲しかったです。

7F「明るい部屋」のジャンヌ

7F の「明るい部屋」では、巨人のジャンヌが待っています。
黄金の枝は…とても近くて、遠い場所にあるわ。
ジャンヌは素敵な女性でしたね。 彼女もまた、この章の主題である「他人の視線」に悩む人の一人でした。
ねじれたジャンヌ
同じ価値観、同じ悩みを持つムルソーに共感し、とても愛している様子が伝わってきました。 少し依存気味ではありましたが。
暗転した画面では、ジャンヌに向けて 「それはあなたの感情ではないわ、ジャンヌ。この都市があなたを勝手に犠牲にし、押し潰して生み出した、画一化された価値観よ。」 と語る声も聞こえます。
対するムルソーは、「私がどう流れていくか、何を選び何を諦めるべきかについての責任も、私にある。」 「だから私はあの声に従わない。君と…共には行かない。」と、はっきり拒みます。

ダンテの問い

ダンテが、自分は何者なのかを問い直す場面もあります。
ドンキホーテの家族。良秀の友人。グレゴールの戦友、ウーティスの上官…
囚人たちとの関係を一つずつ数えたあとで、「浮かんでくる私についての全ては…他人の視線でできている。」と気付き、 「私は他人を離れ、何によって自分の存在を証明できるのか。」と自問します。 10 章のタイトル「見つめられてしまう」と重なる問いですね。

クライマックス:ムルソーの過去と N 社の法廷

10 章のクライマックスは、鎖の演出が印象的なシーンでした。
黙れ。
ここでムルソーは、ねじれた母を殺した時の話と、その後の N 社の法廷での話を語ってくれます。 それぞれの場面で何を考え、何を感じ、何故あのように答えたのかが描写されていて、とても考えさせられるシーンでした。
裁判官の「被告ムルソーは、なぜ母親を殺したのか?」という問いに、ムルソーは「陽射しが…眩しくて…。」と答えます。
法廷は静かだった。陽射しは今も私に囁く。
母親はいつも視線を恐れて苦しんでいて、 「その陽射しは母を人間の形ではないものにし、私はそんな母の首を締めつけ、死という状態にした。」と語られます。
『異邦人』の主人公ムルソーが、裁判で殺人の動機を「太陽のせい」と答える場面がベースになっています。 中編で「陽射し」がカルメンのことだと分かっているので、なおさら重く響く場面でした。
法廷でのムルソーは、「そして、この思考の全てを言葉で表すのを諦めた。」 「彼らが関心を向けるのは、私の考えではないと知っているから。」とも語っています。
正確に、正直に、誠実に答えたところで、他人の目に映る自分、他者が定義する自分というフィルタを通すと、誤解されて伝わってしまう、という話です。 ムルソーのケースほど深刻でなくても、生きていれば大なり小なり経験することだと思うので、とても心に来ました。
この時のムルソーは、その誤解を解くことにうんざりしてしまいました。 それでも、囚人たちとの関係においては、他者の中に定義される自分も受け入れ、誤解されたとしても諦めずに何度も誤解を解く努力をする、と言っていて、とても感動しました。

ムルソーの答え

光の道の場面では、カルメンの言葉とムルソーの言葉が交互に重なります。
「存在は不快だ。自由は恐ろしく、意味は容易く崩れる。」 「ならばこの生の中で、私は何によって証明されるのか。」 「記憶か、経験か。」 「そのどちらでもない。私が考え、選んだものは。」 「私は瞬間を…今を感じる。」
その答えを、カルメンは「それがあなたの答えなのね、ムル。」と受け止めます。
エンディング C の名前は「COGITO」でした。 デカルトの「我思う、ゆえに我あり(cogito, ergo sum)」の「cogito」で、 「私が考え、選んだもの」で自分を証明するムルソーの答えと重なっています。

ジャンヌとムルソー

ジャンヌとムルソー
決着のあと、ジャンヌは「私たちは、互いがいなくちゃ耐えるのは難しいでしょうし…。」と言い、 ムルソーは「意味のないものに、私たちが拍子を置いてリズムを与え…。」と返します。
10 章のラストでは、ジャンヌはシーシュポス塔からムルソーによって助け出されていました。 どうか二人で、幸せな結末を迎えられると良いなと思っています。

ダンテとカルメンの対話

これまでの感想でも書いてきましたが、10 章はロボトミーコーポレーションや Library of Ruina を遊んだ人なら嬉しくなる追加の情報がたくさんありました。 特に、ラストのクライマックスでのダンテとカルメンの対話のパートは、情報の宝庫です。
ダンテが「あなたが…ねじれを生み出してるの?」と尋ねると、カルメンは否定し、 「あなたたちがねじれと呼ぶ現象は…価値観の姿に過ぎないの。」と答えます。 カルメン自身は、その人が自分の心にもう少し正直になれるよう、「心を照らすだけ」なのだそうです。
否定から肯定へ感情の落差が生まれるとき、そのエネルギーから人はそれぞれの姿を、心を物質化できるわ。それが特異点だったから。
この対話で語られたのは、主に以下のような内容です。
  1. カルメンの動機と、ねじれについて思うこと
  2. 「ねじれ」という名前が気に入っていないこと(「誰かが、名前をつけ直してくれたらいいのにな」)
  3. 心の物質化という特異点の、簡単な原理の説明(否定から肯定へ感情の落差が生まれるとき、そのエネルギーで心を物質化できる)
  4. ねじれと E.G.O の違い(否定的な感情がねじれで、肯定的な感情が E.G.O というわけではなく、どの方向へ進めるかは本人の意志の問題)
  5. E.G.O は、カルメンがかつて価値観として追い求めていた姿でもあること
  6. その価値観が、死を前にして変わったこと
  7. E.G.O の価値観は、アインがカルメンと同様に、光の中で貫き続けていること
  8. ねじれ現象を解決する方法もあるかもしれず、そうなったとしても、その選択は尊重すること
  9. それはそれとして、光が消えることには最大限抵抗すること
  10. いつか図書館へ行くべきこと
E.G.O がカルメンのかつて追い求めていた姿だというのは、そうでなければ赤い霧の得物を抽出してはいないでしょうから、納得ですね。
あぁ、そうだ!ダンテ。いつか図書館へ行って。
別れ際には「早くシーシュポス塔へ行って。ムルを助けないといけないでしょう?」とダンテを送り出し、 さらに「いつか図書館へ行って。」「そこへ行けば、あなたが探している何かを知ることになるはずよ。」と言い残します。 図書館といえば、前作 Library of Ruina の舞台ですね。
今後の展開への夢が広がるやり取りでした。

シーシュポス百貨店のその後

シーシュポス百貨店から脱出すると、3 ヶ月が経過していました。
シーシュポス百貨店は崩壊し、中に居た 3 億人が解放されました。 ところが、中でねじれたものはねじれたまま解放されたため、N 社の巣には 3 億人のねじれがあふれることになります。 混乱を避けるため、百貨店内では司祭のアバターを使用していた巨人モーリスが焼却炉を稼働し、解放されたねじれを可能な限り焼却してしまいました。
この焼却によって、シーシュポス塔からは煙が吹き出すことになります。 その煙と雲は、シーシュポス百貨店を構成していた 2 大派閥のル・ノワールとル・ルージュよろしく、黒いものと赤いものでできていて、 そこからはそれぞれ黒い雨と赤い雨が降るようになったようです。
背景には煙と雨
というところで、10 章は完結、エンディングです。
ENDING SONG「사라지네」SUNG BY MEURSAULT

まとめ

とりあえず今回はここまで。
10 章全体を通して、今回は初の試みだった RPG パートが新鮮でした。 演出したいものを最もよく表現できる方法を模索し、ためらいなく実現していく Project Moon のスタンスは、これからも応援したいです。
相変わらずストーリーは最高で、戦闘もやりごたえがあり、10.5 章、11 章も引き続き楽しみになりました!
それでは、また次回お会いしましょう!
著作権について
本記事で使用している『Limbus Company』の画像権利は、 Project Moon に帰属します。 © Project Moon

Rafka

Rafka

Software Engineer

Rafka って言います。品川でソフトウェアエンジニアやってます。

Limbus Company の攻略と感想、中央競馬 G1 レースの予想、参加したイベントの感想などを書いています。

大学では計算論的神経科学や高性能計算を研究していたので、数値シミュレーションの解説も書いています。

Ace Combat 8 を買いました!シリーズファンなのでめっちゃ楽しんでいます!

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